A11
破産手続の自由財産拡張の申立(2)
破産手続きには、大きく2つの入り口に分かれます。
1つは同時廃止事件、略して「同廃」と呼びます。もう一つは管財事件です。
同時廃止事件とは破産法216条1項で「裁判所は、破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足すると認めるときは、破産手続開始の決定と同時に、破産手続廃止の決定をしなければならない。」と記載されているように破産者の財産は管財人に管理処分されない事件類型です。
費用としては、破産事件が確定した後に官報に破産者の名称を乗せる際に必要とされる手数料について裁判所に予納します(1万数百円相当)。
※その他に申立手数料(1500円)や予納郵券(裁判所によって、納める切手の種類、額が異なる)の提出が必要となります。
管財事件とは裁判所によって破産者の財産を管理処分する権限を持った破産管財人が選任され,その破産管財人が,破産者の財産を調査・管理・処分し,換価した金額を債権者に配当するという手続きを行う破産手続です。
管財人の報酬手数料相当額を裁判所に予納します
(裁判所により異なるが、大体20万円以上の金額を予納することになります)
そして管財事件の場合は、破産申立人の財産の管理だけでなく、郵便物も管財人に中身を確認されたり、居所を離れる際にも管財人の許可が必要となったり、生活にも制約がかかります。
よって申立人にとっては、管財事件にならず、同廃事件になったほうが金銭面含めて負担が少ないということになります。
そして、申立人の保有財産が個別に20万円以上のものがある場合には、管財事件になる可能性が高くなります。
(財産以外の要素でも管財事件になる場合はあるので、保有財産がないからと言って管財事件にならないわけではありません)
だから、自由財産拡張の申立を破産申立と同時に行えば、20万円以上の財産が自由財産になった場合、同廃事件になるのではないか?というのが質問の趣旨です。
そもそも、「自由財産拡張の申立」の制度というのは管財事件を前提としていますので、破産財団を組成する場合に財団に組み入れない財産を自由財産として分離する必要があり、自由財産を明確化する必要性が出てくる、その自由財産に本来自由財産でないけれども事情のある財産を裁判所の許可で組み入れる制度です。
そして、同廃事件は、破産開始と同時に破産手続きが廃止される性質の事件ですので、「自由財産」という概念が入り込む余地がない、いってみれば、同廃事件で自由財産は議論の対象とならない性質のものです。
そして、管財事件を同廃事件にするために「自由財産拡張の申立」を行う性質のものでなく、その目的のために申し立てをすることはできません。
借金・多重債務問題でお困りの方、自己破産をお考えの方、過払金を取り戻したい方、お気軽にご相談ください。
借金・多重債務問題解決相談室です。
何度でもご相談無料です。
借金解決 明るい生活を目標に
みんなが幸せになることを祈って
藤田司法書士事務所が管理運営しています