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消滅時効Q&A 
消滅時効完成後の強制執行(差押)


高知県幡多郡四万十市の司法書士です。

 
  
消滅時効Q&A6
 消滅時効完成後の強制執行(差押)


Q6  

私は、借入か返済のどちらか遅いときから5年以上経過しています。
突然、裁判所から「差押命令」が届きました。消滅時効の主張はできますか?

  

差押命令は、消滅時効の中断の事由ですが、差押命令が発令されるには、債務名義と言って「債権が確かに存在することを公に証明した書面」がないとできません。


債務名義とは、「確定した判決」や「強制執行認諾条項つきの公正証書」等です。


差押命令が発令される事前に裁判で判決がとられている可能性があります。


具体事例でみていきましょう。

Aさんは2010年5月1日Z社から20万円を借りました。

返済期日は2011年3月1日です。


その後、借入も返済もしない状態が続きました。

その後、Aさんは住所を移転しましたが、住民票は異動せず、Z社にも通知しませんでした。

Q5 で解説したように、Aさんの知らない間にZ社が訴訟を提起して欠席裁判で判決がとられました。

その判決を債務名義(※1)としてZ社が強制執行手続を行った場合ですが、Z社が調査等によりAさんの預金口座等の財産資産を把握した場合にはAさんの財産資産に対して(強制執行手続により)差押がされることがありうるのです。

Aさんにとっては、突然のことですが、自分の知らないうちに差押されるというのは以上のようなケースが考えられます。

また、差押自体も「消滅時効の中断事由」となります。(民法147条)

Z社が強制執行の申立をした時点が中断となるのですが、
その手続が所期の目的を達することなく取り消されたときは中断となりません。
「差押え、仮差押え及び仮処分は、権利者の請求により又は法律の規定に従わないことにより取り消されたときは、時効の中断の効力を生じない。」(民法154条)

※強制執行の手続きが有効に行われたが、差押する資産財産が無かった場合(俗に「空振り」といいます)や執行が不可能であった場合には「時効の中断」となります。(財産の差押はできなかったが、強制執行手続きは債務者の財産に対して有効に行われた)
但し、債務者に「差押命令」が到達する(送達される)ことが必要です。(判例)



問題となるのは、差押をした時点でAさんの債務の消滅時効が完成していた場合です。

差押(強制執行)がされたということは債務名義として(Aさんの場合)裁判で判決がとられていたことが考えられます。

そうすると判決が確定した時点から10年以内にZ社が強制執行の申立した場合は、(リセットされた)消滅時効の(時効期間未満で)完成になっていません。

よってAさんは消滅時効の主張をすることはできません。

しかし、判決が確定してから10年を超えた期間の経過後にZ社が強制執行申立をした場合は、消滅時効が完成しているので、Aさんは消滅時効の主張をすることができます。

通常は時効の援用をすることは相手方に援用の意思表示の通知をすればよいのですが、強制執行が申し立てられて執行手続が開始されていた場合は、相手方や裁判所に「援用の通知」をしても、強制執行手続は止まりません。

この場合は、別途「請求異議の訴え」(訴訟手続 民事執行法35条)の申立をしなければなりません。

請求異議の訴えを提起しても終結まで時間がかかり、その間は、強制執行手続は止まらないので、請求異議の訴えで勝訴したとしても強制執行の手続は終わってしまっていることがよくあります。

よって、「執行停止の仮の処分」(民事執行法36条)を申し立てる必要があります。

ずいぶん昔の借入が原因で、突然強制執行をされた場合には、「知らない間に判決をとられているか」「判決が確定してから10年経過しているか」を先ず確認する必要があります。(※2)



Aさんが保有する不動産に抵当権等の担保設定がされていた場合

もし、Aさんが、自分の借り入れ若しくは他人の借入の担保のために保有する不動産に抵当権の設定を受けていた場合で、その抵当権の被担保債権(担保する原因となった借入のこと)が時効消滅していた場合はどうなるのでしょうか?

抵当権者は上記説明した「債務名義」を取得する必要なく、「債務不履行」(債務者が約束の期日に支払いをしなかった場合)等があった場合に直ちに「抵当権実行」をすることができます。

具体的には、担保不動産の強制執行(不動産競売の申立)を行います。
その後、Aさんに裁判所から「不動産競売開始決定正本」が届きます。
その時点で、消滅時効が完成していたら、上記の手続きの流れと同様に「請求異議の訴え」や「執行停止の仮処分」の申立をすることにより、Aさんの権利は守られることになります。

なお、上記は、債権の消滅時効に基づいた手続きですが、「抵当権」そのものの消滅時効を主張援用することができます。そしてその消滅時効期間は20年です。

いったいどこがちがうの?と思われるかもしれません。
例えば、被担保債権の消滅時効は中断されていて援用できないが、抵当権の消滅時効は完成している場合があります。
その場合は、抵当権自体の消滅時効を援用できるのでメリットがあります。ただし援用権者(援用できる人)は抵当不動産の第3取得者です。

第3取得者とは債務者(債権者からお金を借りた人)でもなく設定者(物上保証人ともいう 債務者ではないが、債務者の借入を担保するために自分の不動産に抵当権を設定した人)でもないそれ以外の人で当該不動産を取得した人のことです。

例えば、Aさんが債務者でBさんがAさんの債務の担保で自分の不動産に抵当権を設定した場合CさんがBさんから当該不動産を買い受けた場合は、Cさんが第3取得者となり抵当権の消滅時効を援用できます。AさんやBさんは援用できません。

※1 債務名義とは「債権が確かに存在することを公に証明した書面」のことです。

強制執行手続をする際には必要な書面となります。

※2 抵当権等の担保権の設定契約をしている場合は、「抵当証券」等が債務名
義となるので、裁判手続きは不要となります。

その場合は、(手続き上は)即時強制執行可能となります。 

※ 信用金庫、信用組合、農協、漁協、商工中金、労働金庫等は会社や商人   ではなく「非営利法人」ですので、原則消滅時効の期間は10年となります。

但し、債務者が個人事業主や中小企業で借り入れ目的が「事業資金」等事業目的の場合は「商事債務」となりますので、商事債権の時効期間となり、10年となります。





自分の知らないうちに判決がとられているケースとしてはQ5 をご覧下さい。




時効の援用とは、時効によって利益を受ける者が(援用権者)が時効の成立を主張すること。
      
時効による権利の取得・消滅は期間の経過により自動的に発生するものではなく、援用があってはじめて確定的に取得の権利が生じたり、権利が消滅する。

   
    消滅時効詳細
     
消滅時効について、更に詳しく知りたい方は、「消滅時効 詳細」をご覧下さい
会話形式でわかりやすく解説しています。


消滅時効の起算点と期間計算」をご覧下さい。

 
  



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  消滅時効とは
   
消滅時効とは一定期間、権利が行使されないと権利が消滅する民法で定められている制度です

貸金業者から借入をし、最後に返済したとき又は最後に借入をしたとき(どちらか遅いときから)5年以上経過 した場合は消滅時効が完成している可能性があります。 

最後の返済又は最後の借入から5年以上経過していて、その間に「時効の中断」となるような事実がない限り、 消滅時効が完成することになります。 

 消滅時効の正確な起算点は下記を参照ください。
      
原則、貸付け金の請求権の消滅時効の起算点は、支払期日(正確にはその翌日)となります。 
      
リボルビング取引の場合には、「期限の利益喪失(貸付金を一括で返済しなければならなくなること)の日」を定めている場合が多く、その期日の翌日が消滅時効の起算点となります。 
      
※リボルビング取引とは予め締結する基本契約(包括契約)において、貸付金利、貸付限度額、返済方式等の基本事項を定めておき、それに従って、借入と 返済を繰り返す貸付形態

「時効の中断」とは訴訟を提起されたり、自分が債務を承認(借入のあることを認めること)したり、(残額の一部を弁済したりすることも承認となります)
        
強制執行(差押) されたりすることになります。
    
もし、5年以上借入も返済もしていない場合で、貸金業者から、請求されたり、訴訟を提起されたりした場合は、お気軽に当事務所にご相談ください。
       
※ 貸主が個人の場合(商人や会社でない場合)には、原則消滅時効の期間は10年となります。       
但し借主が商人であったり、事業目的の借り入れであれば商事債権となり原則5年となります。
   
※ 信用金庫、信用組合、農協、漁協、商工中金、労働金庫等は会社や商人ではなく「非営利法人」ですので、原則消滅時効の期間は10年となります。
     
但し、債務者が個人事業主や中小企業で借り入れ目的が「事業資金」等事業目的の場合は「商事債務」となりますので、商事債権の時効期間となり、5年となります。


 

 

 

 

 
            
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