消滅時効Q&A3
消滅時効の更新と和解
(更新=旧法の中断)
Q3
私は、借り入れ又は返済の遅い時期から5年以上経過した後に裁判を起こされました。
そのときは、消滅時効のことを知らなかったので、相手側の請求を認めて分割で支払う旨の裁判上の和解を締結しました。
今から消滅時効の完成を主張することはできませんか?
A
※本Q&Aの事例は、原則貸金業者や会社からの借り入れ(消滅時効期間は原則5年間)の場合を想定しています。
裁判を起こされたら、裁判所から「答弁書に貴方の主張を記載をして裁判所に送ってください」との通知が訴状と一緒に郵送されてきます。
その際に答弁書に債務が存在することを前提に自分のいいぶんを記載をすると「債務の承認」となってしまう可能性が高くなります。
債務の承認をすることは、消滅時効が完成していても消滅時効の権利を放棄することと同様の結果となり、消滅時効の援用をすることはできなくなります。
(昭和41年4月20日最高裁判例)
同様に裁判手続きで(債務が存在することを前提として)相手方と和解をすることも同様です。
消滅時効完成後に債務の承認(弁済、和解、債務弁済契約書の締結等・・)をした場合は、時効完成後なので、時効の更新という問題にはなりませんが時効援用権の放棄とみなされて、もはや消滅時効の援用をすることはできなくなります。
消滅時効完成前に訴訟手続きで和解が成立した場合は消滅時効の更新となります。
この場合(消滅時効完成前)は、和解後に改めて消滅時効が開始されることになります。
消滅時効の知識がなくて、相手方と訴訟上の和解をした場合でも、(消滅時効完成前であれば)判決が確定した場合と同様で、確定した時点から10年の消滅時効期間が完成しないと消滅時効の主張をすることはできません(民法169条第1項)
消滅時効完成後であれば、和解した時点で債務承認とみなされ消滅時効の援用はできなくなる可能性が高いです。
例え、和解した時点で消滅時効という制度があることを知らなかったとしても「あのときは消滅時効という制度があることを知らなかったから和解は無効だ」と主張しても、(法律上)認められないでしょう。
法律の諺に「権利の上に眠る者は保護されない」というものがあります。
つまり、法律を知らなくて行為を行った者は「知らなかった」ことを理由に無効を主張できないケースが往々にしてあります。
消滅時効が完成された後に、債権者から請求を受けたり、裁判を起こされたりした場合の対処については
Q&A4 をご覧ください。
時効の援用とは
時効の援用とは、時効によって利益を受ける者が(援用権者)が時効の成立を主張すること。
時効による権利の取得・消滅は期間の経過により自動的に発生するものではなく、援用があってはじめて確定的に取得の権利が生じたり、権利が消滅する。
消滅時効とは
消滅時効について詳しくは「消滅時効」をご覧ください。
消滅時効改正
令和2年4月1日施行された改正民法により、消滅時効の規定も新しく変更されています。
消滅時効の改正について詳しくは「消滅時効/ 民法改正後の消滅時効」をご覧ください。
消滅時効詳細
消滅時効について、更に詳しく知りたい方は、「消滅時効 詳細」をご覧下さい。
会話形式でわかりやすく解説しています。
「
消滅時効の起算点と期間計算」をご覧下さい。
ご相談の窓口
ご相談については「
問い合わせ」からお申込下さい。
相談無料です。
相談方法は「事務所での面談」「メールによる相談」「LINEによる相談」(下記参照)とご都合に合わせて対応しています。
LINEでの無料相談
当事務所はスマートフォンアプリのLINEのトーク画面により「無料相談」も行っています
詳しくは「
LINE相談」 のページをご覧下さい。
友達追加ボタンから友達になっていただきご利用下さい。
ご相談については「LINE相談」の手順をお読み下さい。
ご相談内容の秘密厳守
司法書士は、司法書士法24条で「業務上(〜中略〜)知りえた秘密」を「他に漏らしてはならない」とされています。
(司法書士の守秘義務)
又、当事務所では、過去の全ての相談、受任事件においても守秘義務違反に該当する事故は1件もありません。
安心してご相談下さい。