債務整理Q&A
支払期日に遅延した場合に遅延利息を
支払うのはどういうとき?
また、引直計算ではどうなるの?
A29
Q29
貸金業者から支払い期日に遅延したとき、法定の利息以上の利息を請求されるんですか?
取引履歴に、利息制限法を越える利息を利息制限法の利息に引きなおしたところ、「その時点は支払期日に遅延しているから遅延利息になっている、遅延利息は利息制限法で利息制限法の利息の1.46倍まで合法なんだ。」といいます。
これってどうなんですか?
A29
利息制限法第4条では「金銭を目的とする消費貸借上の債務の不履行による賠償額の予定は、その賠償額の元本に対する割合が第1条(利息制限法の上限利率)に規定する率の1.46倍を超えるときはその超過部分について無効とする」とあります。
つまり、1,46倍までは遅延損害金の利率は有効であるということになります。
しかし、ちょっと待ってください。
期日に遅れてしまっただけで、即、1,46倍の利率にして良いというものではありません。
遅延損害金として有効に認められるためには以下の手順が必要なのです。
債務者が期限の利益喪失→債権者が一括請求→債務者の認諾
※
期限の利益の喪失期限の利益とは金銭の貸し借りにおいて、返済期日までに借金を返さなくてよい(返済請求されない)という期限が到来していないことにより債務者(借主)が受ける利益。
金融機関が金銭を貸し付ける場合は、ほとんどの金融機関が「期限の利益喪失特約条項」を契約書におき、借主が返済期日に分割約定金額を返済しなかった場合に全額を返済しなければならない(期限の利益を喪失するということ)とする約定の入った金銭消費貸借契約を締結する。
ところが、貸金業者は、めったに「期限の利益の喪失」を通告するようなことはしません。
一度、「期限の利益の喪失」を通知してしまうと、遅延損害金を付加して一括で請求できますが、取引は終了となり、又現実に一括で回収できない場合が多いのです。(個人への貸付については無担保で貸し付ける契約が多いので、担保からの回収が出来ない)
そして回収できたとしても、取引は終了してしまいます。
貸金業者は出来るだけ長く取引して儲けたいのです。
そして、返済の際は期限の利益喪失を告知してないにもかかわらず、しっかりと遅延損害金(1,46倍の高額な利率で)として利息に充当します。
よって、貸金業者は「期限の利益喪失」を告知しないでそのまま取引するほうが2度おいしいのです。
よって、取引履歴の開示の際もしっかりと遅延損害金の利率で持って計算した履歴を「合法だ」などというのです。
よって過払い訴訟では、「この時点では債務者が支払いを遅延したので遅延損害金の利率になり、過払いは発生しない(または過払いは減る)と主張します。
しかし、この主張は許されません。
最高裁平成21年9月11日判決は、「期限の利益が喪失している状態のときに貸金業者が期限の利益喪失していない対応をとり、借主が期限の利益を喪失していないという状態を知りながら是正せず、債務者が経過利息と誤信して払った利息を受領した貸金業者が過払い訴訟で「期限の利益の喪失」を主張し、遅延損害金の発生を主張することは信義則に反し許されない」としたのです。
補足:利息制限法による引直計算において、遅延損害金の利率が発生するかしないかの問題は、過払い金が発生していない段階(利息超過部分が借入額を上回っていなくて過払い金が発生していない状態)での話です。
過払い金が発生している部分では、元本自体が返済された状態になっていて元本が消失しているわけですから、勿論、利息制限以内の利息も発生しませんし、遅延損害金も発生しないことはいうまでもありません。
また、仮に「期限の利益の喪失」の告知が適切になされ、過払い金が発生していない段階で遅延損害金が発生していたとしても、約定利息が利息制限法の上限利率を超過していた場合は、利息制限法の利率に引きなおした上で、その利率の1,46倍の利率になりますから、約定利率の遅延損害金よりも低い金額になるのは勿論のことです。
以上、ざっと述べてきましたが、いずれにしても貸金業者が姑息な手段により利息制限法を脱法しようとすることは許さないというのが、利息制限法の趣旨(改正された眼目)です。
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