債務整理Q&A
受任後に債権者は強制執行(差押等)できるか
A26
Q26
突然、給与や銀行口座に差押がされました。
通常は、裁判上の手続きが必要なはずだから、事前に何らかの通知が裁判所からくるのではないですか?
A26
通常、債権者が債務者に強制執行(給与や銀行口座に対する差押、動産に対する動産執行、自動車に対する自動車執行、不動産に対する競売申立等)する場合は、まず、債務名義を取得してその債務名義に基づいて強制執行申立の手続きをとらなければなりません。
債務名義:
私法上の給付請求権が存在する事を証明する公文書のことです。
この文書があることによって、はじめて強制執行の申立ができます。
確定した判決正本、執行認諾文言付公正証書、仮執行宣言付支払督促等がこの債務名義にあたります。
ですから、まず、最初に裁判所から訴訟提起の呼出状が来ます。
そして、訴訟の結果、判決や和解調書が裁判所から言い渡されます。
その場合2週間以内に異義を出さないと確定します。
確定した判決等は債務名義となります。
その後、債権者がその債務名義を添付して裁判所に強制執行の申立をします。
それにより、差押がされることになります。
その場合、債務者に対する流れとしては、まず、債権者から支払の督促通知があります。
そして、支払に応じない、もしくは回答しないとした場合に訴訟提起がされます。
その後、債権者から支払督促通知があり、それにも応じないと債権者の判断により強制執行がされます。
なので、何の事前予告通知もなく、突然、訴訟提起されたり、差磯さえされるということは通常、考えにくいのですが、債務者が住居を変更して債権者に連絡してなければ、旧住居に
督促通知や裁判所からの通知がいき、欠席裁判で判決がとられたり、差押がされることはあります。
その場合は、全く事前に何の連絡も無く、突然、差押がされたという状況になる場合があります。
しかし、原則、一般の債権者から、法的な前提手続きをせずに差押されることはありません。
しかし、国税や地方税については上記のケースとは違ってきます。
国税や地方税等の徴収に対しては「国税徴収法」で規定があります。
国税徴収法47条1項1号により債務名義を取得せずに差押をすることが認められます。
国税徴収法47条1項
第47条
次の各号の一に該当するときは、徴収職員は、滞納者の国税につきその財産を差し押えなければならない。
1.滞納者が督促を受け、その督促に係る国税をその督促状を発した日から起算して10日を経過した日までに完納しないとき。
2.納税者が国税通則法第37条第1項各号(督促)に掲げる国税をその納期限(繰上請求がされた国税については、当該請求に係る期限)までに完納しないとき。
よって、所得税や市民税(住民税)等の支払を滞納していた場合に突然差押されることはあります(債務名義取得手続きなしで、即執行される)
その場合でも通常は、執行前に債権者である国や地方自治体から支払督促通知が書面や電話できます。
なので、その連絡すらなしに、突然差押がされるということはほとんどありません。
また、国や地方自治体の債権に付いては上記の規定があるので、債務名義取得の前提手続きなく差押をすることは可能です。
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